「源氏物語ミュージアム」常設展示室では、長編小説『源氏物語』を物語の筋ではなく、物語の雰囲気によって紹介しています。 「春の部屋」は、平安時代の最高の貴族で、最大の富と権力を持っていた光源氏が活躍した華やかな光りの世界です。


 

 『源氏物語』の華やかな世界を象徴する乗り物が牛車(ぎっしゃ)です。身分によって材質や飾りに制約がありましたし、注文生産ですから、色や形、文様によって持ち主のセンスがわかります。何頭もの牛を飼っていて、何人もの牛飼いやお供がいて、そのうえで使うことができる、大きくてぜいたで、富も権力も持っている貴族の専用の乗り物です。 物語のヒロインが乗ったであろう、上流女性用の牛車を、古代中世の絵巻物を参考にして復元しました。



 



 牛車にはさまざまな種類があります。また同じ牛車でも、物見=(窓)の形、屋形=(人が乗る箱)の材質、描かれた文様などの何に注目するかで、呼び名が変わります。これは女車<おんなぐるま>=(女性が乗用している)、網代車<あじろぐるま>=(竹や木を薄くそいで組み合わせた網代でできている)、半蔀車<はじとみのくるま>=(窓が半蔀になっている)、文の車∧もんのくるま<(文様が描いてある)、そして簾<すだれ>の下から女性の装束の袖や裾<すそ>をこぼれだして飾りとした、出車<いだしぐるま>です。

 牛車はふつう進行方向に対して横向きに乗ります。定員四人で、向かい合わせに二人ずつ座りました。ただし「仁王<におう>乗り」といって、正面 向きに乗ることも無いわけではなかったようです。

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六条院のくらしの中の華やかな一場面 、迦陵頻(かりょうびん)と胡蝶(こちょう)の舞です。 秋好(あきこの)む中宮(ちゅうぐう)が催(もよお)した季(き)の御読経(みどきょう)に際し、紫の上が自分に仕える女童(めのわらわ)を遣わして献花し、舞楽の迦陵頻と胡蝶を舞わせました(胡蝶)。季の御読経は春と秋とに大般 若経を購読させる大規模な法会です。物語では、四人ずつの女童ですが、ここでは舞っている迦陵頻と出番を待っている胡蝶の各二人です。


 

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ここは高貴な女人の居間です。選び出した衣服を衣架(いか)に掛けたあとで、女主人や女房たちは室を離れました。小袿(こうちぎ)は床に打ち広げられたままです。実際の展示では、当時のまま香がかすかに薫っています。


 

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三十五歳、太政大臣になり生涯の絶頂にあった光源氏が建てた、理想的な寝殿造りの邸宅「六条院」を百分の一で復元しました。 六条院は平安京の六条京極(現在の河原町五条)付近にに四町の敷地を占め、四季それぞれの季節にあった庭と御殿を持つ四つの町からなります。標準的な貴族の邸宅は一町ですから、敷地だけでも光源氏の権勢の大きさがわかります。

 

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